はじめに
こんにちは。SREの髙木です。
2025年7月24日にSREイベント「OisixのSREチームとの交流会 お野菜を添えて」を開催しました。
本記事では当日の様子をレポートします。
なぜイベントを開催したか
SRE NEXT 2025に向けて準備を進めている中で、SREに関連したイベントを自社でやりたいという話が出ていました。
「じゃあSRE NEXT 2025の熱が冷めないうちにやろう!」ということで具体的な話がトントン拍子に進み、開催が決まりました。
筆者は、技術イベントの発表が他の誰かの助けや気づきを得られるきっかけになり、助けられた人が事例を発表してまた別な誰かを助けられるかもしれない、というのがイベントに参加・登壇する醍醐味と考えています。
そのようなイベントを自社で開催したいというモチベーションもありました。
イベントの様子
お野菜とフルーツなど
会場ではOisixの野菜やフルーツやおつまみ、ドリンクをご提供しました。
野菜やフルーツはイベント開始直前にイベントスペース併設のキッチンでSREメンバーを含むスタッフが調理・盛り付けをしました。
個人的な感想になってしまいますが、筆者(髙木)が調理・盛り付けを行ったサラダがおしゃれという声があり嬉しかったです。





登壇レポート
LT(5分×9名)->jacopen氏の講演という流れで進行しました。
信頼性向上の事例やセルフサービス化、コスト削減、最新技術の紹介など多岐にわたるテーマを、様々な業種の企業に所属する方々が発表しました。
SREの役割範囲がとても広く、それが大変でもあり面白みでもあることを改めて実感しました。
公開可能な登壇資料をconnpassにアップしています。
ご興味のある方はぜひご覧ください。
oi-study.connpass.com
完璧を目指さない。小さく始める信頼性向上
株式会社カケハシのもっちさんの発表です。
急に信頼性向上の熱量が高まり、実際に信頼性を向上させた事例のご紹介でした。
信頼性を向上することは、もちろんお客様にとって重要なことです。そしてSRE自身にとっては、
お客様目線と自分たちの健全性の両面で信頼性に向き合いたいと思いました。

10倍の運用規模を見据えて 開発者へのセルフサービス提供
ウェルスナビ株式会社の森祐太朗さんの発表です。
組織やプロダクトが成長するにつれてSREがボトルネックになり、自動化や標準化、セルフサービス化を行った事例のご紹介でした。
提供した様々な仕組みのうち、DBデータ管理に関する仕組みついてお話しされていました。
弊社はAmazon WorkSpacesの運用について主にコスト面での課題感を持っており、
Amazon WorkSpacesをAppStream 2.0に置き換えた事例は興味深いものでした。
これを機にAppStream 2.0に入門したいと考えました。

会社もクラウドも違うけど通じたコスト削減テクニック
イオンスマートテクノロジーの林如弥さんの発表です。
転職によってメインで利用するパブリッククラウドがAWSからAzureに変化し、Azureが全然分からない状態でも、転職直後のフレッシュな目線でコスト削減を実現した事例をお話しいただきました。
また、ドメイン知識がコスト削減につながるということもお話しされていました。
1つの企業で長く働いていると、どうしても固定観念が生まれてしまい、現状に疑問を持てなくなったり、何かをやる前から「これは難しいだろう」と考えてしまうことがあります。
固定観念を取り除くこと、加えてビジネスドメインの知識を得ることで、さらなるコスト削減余地を探索したいと考えました。

Kiro HookをTerraformで検証
井上碧さんの発表です。
Terraformコードの変更をトリガーにKiro Hookを実行する事例のご紹介でした。
Kiro Hookは、Kiro内で特定のイベントが発生した時に、事前に定義されたアクションをAIエージェントが自動実行する機能です。
コードを変更した時にドキュメントを更新するのが人力だと忘れがちなため、自動で実行させるのは便利そうです。
一方で、自然言語で対話するという性質上、出力結果が揺れてしまうことがありそうです。
セキュリティチェックのように品質を担保するためのチェックは、機械的なチェックを行うCIやPolicy as Codeとの使い分けが必要そうです。

Azure SRE Agent のご紹介
斎藤功平さんの発表です。
Azure SRE Agentのご紹介でした。
AIがインシデント管理やAzureのリソース最適化を支援してくれるサービスです。
インシデント管理はSREにとって重要な業務である一方、心理的な負荷が高い業務でもあり、AIが支援してくれるのはとても助かります。
自然言語を用いてAzureのリソース状況を質問できるのも便利そうです。

コスト「削減」から「最適化」へ ~SREの考え方をコスト最適化に適用する~
筆者(髙木)が発表しました。
「コスト」という言葉は、削減を求められたり、増加したことの原因を追求されたりすることがしばしばあり、言葉自体にネガティブな印象を持たれることがあります。
しかし、適切なコストはビジネスや組織を成長させるための投資でもあります。
単なる削減にとらわれず、得られる価値を最大化するために最適化を思考しましょう、という提案をしました。
また、SREの考え方をコスト最適化に適用できるのではという提案や、FinOpsという考え方があるということをご紹介しました。
元SREが企画職としてエンジニアと接するときに気をつけていること
原智子さんの発表です。
エンジニアから企画職に転職した立場から、エンジニアとコミュニケーションする際に気をつけていることをお話しいただきました。
エンジニアからの提案に対して、元エンジニアとしての経験があるからこそ色々言いたくなることがあるが、軽々しく口を出さない、というスタンスで臨んでいるとのことです。
自分と異なるロールの人に対する敬意を忘れない姿勢が大変素晴らしいです。
私も常に他の方へのリスペクトを忘れない姿勢で対話しなければならないと改めて思いました。

初めてのNOCと監視技術
電気通信大学のAkitoshiさんの発表です。
SRE NEXT 2025でNOCチームの一員だった方です。当日のNOCチームの活動についてご紹介いただきました。
会場のネットワークの状況をZabbixで収集し、Grafanaで可視化していたとのことです。
学生の方がNOCチームに参加したり技術イベントで登壇していることに非常に驚きましたし、尊敬します。

SREは特別な魔法じゃないって話
株式会社スリーシェイクの永瀬滉平さんの発表です。
イベントのブースに立ってSREについて話をしていくうちに、「SRE」というものへの認識が整理されたため、言語化してみたというお話しでした。
- 他社の事例を参考にするのはいいことだが、そのままなぞるだけではなく自分たちにとって適切か自分たちで考える
- 同じ用語を使って会話していても、人によって用語に対する認識が異なる(ので、用語の意味を言語化してみることが大事)
こういったことはSREに限らず様々なロールで言えることです。頷きが止まりません。
また、「何でも屋さんも悪くないかも」ということもおっしゃっていました。
「何でも屋さん」という言葉がネガティブな文脈で使われることもあります。
しかしながら、様々な問い合わせを契機に課題を発見し解決に取り組むことは、SREがその時間を確保できる前提であれば必ずしも悪いことではない、というのが同意できました。

SRE or Platform Engineer - エンジニアとしてどちらを選ぶか
最後に草間一人(jacopen)さんの講演です。
SREとPlatform Engineeringの違いや、AIによってSREとPlatform Engineeringがどのように変わっていくかについてお話しいただきました。
以下は講演でお話しいただいたことの概要です。
- 何もしなければ信頼性が向上する。しかし、勝ち残るには素早く開発して市場に投下する必要がある。そうすることで障害も起きやすくなる。その問題を解決するためにSREが必要。
- 真のDevOpsは、究極的には開発者がアプリケーション開発、コンテナ、CI/CD、オブザーバビリティ、などの全てを理解している状態。ただし、それらすべてを理解するのは認知負荷が高く、やり切れる人材は少ない。そこで、Platform Teamがテンプレートの提供、標準化などを行う。
- 『SREの探求』より引用、Software Delivery Life Cycle(SDLC)パイプラインの、左から右を考えるのがPlatform Engineering、右から左を考えるのがSRE。自分のモチベーションがどちら向きなのか考えたほうがいい。
- AIの登場によってSREとPEの役割が変わっている。AIにコーディングを任せることで開発が高速化するとデプロイが増え、インシデントが増えていく。それに対してAIを駆使して対策していくのがこれからのSREの姿になる。AIが自律的に動けるようなガードレールなどをPEが整えていく。


終わりに
「OisixのSREチームとの交流会」と銘打ってのイベントでしたが、弊社のSRE以外の参加者同士での交流も多くありました。
当日のX(旧Twitter)のハッシュタグ「#oistudy」のPostやアンケートの結果から、参加者の皆様に楽しんでいただけた様子が伝わり、開催してよかったです。
イベントにご参加いただいた皆さま、ありがとうございました!
イベントの会場を提供しています!
最後に、会場提供のご案内です。
オイシックス・ラ・大地では、コミュニティイベントや勉強会のための会場を無料で提供しています。
提供可能な会場は2か所あります。
- 30名規模のイベントスペース(今回SREイベントを開催した場所です)
- 100名規模のイベントスペース
会場提供をご希望の方がいらっしゃいましたら、次の連絡先までお問い合わせください。
saiyouteam@oisixradaichi.co.jp
担当:HR小川
各会場の写真付きの詳細情報を、オイシックス・ラ・大地でコミュニティへの会場提供を再開しました!!に記載しています。こちらもぜひご覧ください。
