はじめに
秋の気配が色濃くなり、鍋が恋しい季節になってきましたね。 Oisixでは、定番モノから変わり種まで、鍋のKitも販売しています。これからの寒い時期にいかがでしょうか。
改めましてこんにちは。Oisixエンジニアリング部の菊池です。開発ディレクションから監視まで、Oisixシステムに関わることを手広くこなしています。 「そろそろ君も何か書きなさい」という声が徐々に大きくなってきたので、拙筆ながらウェブサイトのCore Web Vitalsをテーマに投稿させていただきます。
Core Web VitalsはGoogleが定めるユーザー体験を測る重要な指標です。これらはSEOのランキングシグナルとして知られていますが、最も重要なのは「ユーザー体験の向上」がコンバージョン率(CVR)というビジネス成果にどれだけ影響するか、という点です。
本記事では、私たちが運営するECサイト Oisix のリアルデータを用いて、Core Web VitalsがCVRに与える影響を定量的に検証しました。
今回の検証により、Core Web Vitalsのスコア、特にLCP(Largest Contentful Paint)がユーザーの離脱とCVRに極めて強く関連していることが、当社の実データから裏付けられました。次の項よりどのような検証を行ったのかを説明していきます。
Core Web Vitals(CWV)の基本のおさらい
まず、今回の検証で特に焦点を当てた3つの指標と、Googleが推奨する「良好」の基準値はどのようになっているのか。この点をおさらいします。 詳細な説明は本家でご確認いただけますので、ここでは各指標とそれぞれの基準値をまとめるまでに留めます。
| 指標 | 意味 | 良好の基準(75パーセンタイル) |
|---|---|---|
| LCP (Largest Contentful Paint) | メインコンテンツの描画速度 | 2.5秒未満 |
| INP (Interaction to Next Paint) | ユーザーの操作に対する応答性 | 200ミリ秒未満 |
| CLS (Cumulative Layout Shift) | ページ読み込み中のレイアウトの安定性 | 0.1未満 |
ユーザーが「待たされる」「操作が効かない」「画面がズレる」といったストレスがCVRに影響を与える、というのが一般的な仮説です。
検証データと方法
次に、今回の検証アプローチについて、簡単に説明させていただきます。
1. データ収集の概要
データ期間については、次の通りサンプリングしています。
- 対象期間: 2025年1月1日~3月31日の3ヶ月間
- 対象セグメント: アプリ利用以外のユーザー
- 計測方法: Webサーバーのレスポンスタイムをもとに計測
- 目標: ページビューごとのレスポンスタイムと、そのセッションのCVR(商品購入やカート追加など)の相関を分析
Oisixではシステム構成上の事情により、Core Web Vitalsのスコアとセッションデータの紐づきが十分でないため、LCPとCVRの相関が取りづらい状態になっています。そこで、今回は代替策としてLCPに近いサーバーレスポンスタイムを用いています。
また、Oisixでは、ページによってアクセスしてくるユーザーの特徴が少し異なります。今回は次の特性ごとに分け、分析することにしました。
| ページ区分 | 概要 | ユーザーの特徴 |
|---|---|---|
| 定期ユーザー向けページ | Oisixを定期的に利用するユーザー向けのページ(リピート購入を前提) | ロイヤリティの高いユーザー層 |
| 新規ユーザー向けページ | Oisixを利用したことがないユーザーで、Oisixの商品を試してみたい方向けのページ(リピート購入なし) | 広告経由で流入してくることもある、非常にライトなユーザー層が中心 |
2. LCPとCVRのクロス分析
Core Web Vitalsの代表的な3指標のうち、今回は体感的な待ち時間を示すLCPに注目して分析しています。
前述の区分ごとに計測方法を変え、次のようにしています。
- "定期ユーザー向けページ"に関しては、売り場ページを表示するレスポンスタイムとその後のカート追加の有無を計測する。
- "新規ユーザー向けページ"に関しては、ユーザー向けのLPを表示するレスポンスタイムとその後の注文の有無を計測する。
レスポンスタイムとCVRの相関を視覚的に把握するため、今回は1秒刻みでの変化を検証しました。
検証結果:LCPがCVRに与えるインパクト
実際に計測した結果をグラフにすると、次のようになりました。 なお、「素のCVRを出しちゃダメ」とのお達しがあったため、縦軸が1秒未満のCVRを1としたときの割合、横軸がレスポンスタイムとしています。
定期ユーザー向けページ

新規ユーザー向けページ

ここで記載するCVRは、カート投入セッション数÷ページ表示セッション数で算出しています。
"定期ユーザー向けページ"に関しては、レスポンスタイムが2秒未満まではCVRに大きな変化が見られません。 しかしレスポンスタイムが2秒以上になると▲0.15、3秒を超えると▲0.25とCVRの逓減傾向があることをグラフからも確認できました。 ロイヤリティの高いユーザーといえど、「待ち時間ストレス」が購買意欲の減退につながっていることを示唆していると考えられます。
また、"新規ユーザー向けページ"に関しては顕著に影響が出ており、レスポンスタイムが1秒を超えると▲0.27となることが確認できました。広告から流入するユーザーも多いことから、"定期ユーザー向けページ"に比べてより刹那的な行動をすることが読み取れます。
ここから分かることは次のことです。
定期ユーザー向けページには、Googleの推奨するLCPのGoodの水準(LCP2.5秒未満)を維持することで一定の効果は見られる。一方で、新規ユーザー向けページにはその基準は適用できず、より厳しい水準が求められる。
新規ユーザー獲得はミスが許されない世界、ということは理解できました。
まとめ
冒頭にも触れたように、今回の検証によりCore Web Vitalsのスコア、特にLCPがユーザーの離脱とCVRに極めて強く関連していることが、当社の実データから裏付けられました。 このことから、Core Web Vitalsの改善や高水準状態の維持は、単なるSEO対策ではなく、直接的にビジネスの売上(CVR)を向上させるための重要施策の1つと言えます。 今後も、Core Web Vitalsを継続的にモニタリングし、改善のPDCAを回していきます。もし今回のブログの反響が一定あるようでしたら、LCPの改善後にCVRが実際にどう変動したか、具体的な続報を共有するかもしれません。
オイシックス・ラ・大地株式会社では、こうした日々の努力の積み重ねも行いながら、よりよい食の未来を作るために日々邁進しています。少しでも興味を持っていただけたら、ぜひ採用ページをご覧ください。 お話しするだけでも大歓迎です。
