Oisix ra daichi Creator's Blog(オイシックス・ラ・大地クリエイターズブログ)

オイシックス・ラ・大地株式会社のエンジニア・デザイナーが執筆している公式ブログです。

入会直後の解約率改善に向けた仮説検証プロセス

はじめに

こんにちは。Oisix開発部バックエンドセクションの栗崎です。

私たちエンジニアリング本部では、今年度からプロダクト開発組織を導入し、各チームが自らビジネス目標を持って事業成長を目指す取り組みが始まりました。 私はその中で、とくに「ユーザの解約率を改善する」ことをミッションとするチームに所属しています。

チームは始動しましたが、解約要因は多岐にわたり不確実性が高いのが現実です。そこで、まずは「Oisixを十分に活用できている理想の状態」と「解約に至ってしまう実態」のギャップ(課題)を特定し、それを埋めていくアプローチをとることにしました。

本記事では、その過程で手探りで始めたデータ分析と、そこから導き出した施策の仮説検証プロセスを紹介します。

課題の特定と解決のアプローチ

最初に「どうして解約(退会)に至ってしまうのか?」「解約のトリガーとなるものは何か?」をチーム内で話し合いました。

Oisixという日々の食卓を担うサービスの特性上、生活環境やライフスタイルの変化によって解約となるケースが一定数発生するのは致し方ありません。しかし、何らかのBad体験を通じて解約に至ってしまうケースは防がねばなりません。具体的にどのようなBad体験が起こり得るか?ユーザ視点に立ち、実際のお買い物する画面をチーム内で共有しながらブレストし、次のような課題がありそうだと考えました。

解約のトリガーとなりえる課題

  • サービスモデルの複雑性:「定期ボックス」というサブスクリプションモデル
  • サイト内における探索の困難さ:欲しい商品が探しにくい・見つからない

また、これらの課題は、長年Oisixを利用してくださっているユーザにとっては、サービス内容を十分理解されていたり、お買い物の行動パターンがある程度固定化されてくるとあまり気にならなくなってくる(課題とはなりにくい)側面があると言えます。

そこで、とくに入会して日の浅いユーザを対象に、「サービスのわかりにくさ」「注文のわかりにくさ」を解決することで解約率を減らすアプローチを取ることとしました。1

仮説出しとそのデータ裏付け2

入会直後のビギナー期(弊社内では入会から8週までをビギナー期と呼んでいます)に解約したユーザ(以下、ビギナー解約)のインタビューやアンケートを見ると、「定期的に届くサービスとは知らなかった」「(定期ボックス内に商品が提案されているのに気付かずに)注文していないのに商品が届いた」という声が多く寄せられていました。

これはサービスそのものの不満というより、「サービス内容の理解」や「注文方法の理解」におけるBad体験が解約のトリガーとなっていることを示唆していました。

また、ビギナー解約の内訳を見ると、入会2週目での解約が最多であることがわかりました。 さらに、2週目で解約するユーザの行動ログを深掘りすると、その半数以上が一度も注文をしておらず、とくに「定期ボックスを一度も閲覧せずに解約しているユーザ」が相当数存在することがわかりました。

そこで、「定期ボックスを見たかどうか」で解約率にどれくらいの差が出るのかを比較分析しました。すると、ここに明らかに有意な差(乖離)があることに気づきました。

この事実から「入会直後のユーザに "定期ボックスで商品が提案されていること" を正しく認知してもらうことで2週目での解約を減らすことができる」という仮説を得ることができました。

ClickNavigator施策の展開

入会直後にまず知ってもらいたいことを案内するオンボーディング施策を「ClickNavigator」と名付けました。

施策の目的はあくまでも認知してもらうことにあるため、「ここに定期ボックスあるよ(見てね)」だけをシンプルに伝える内容としました。

ClickNavigator表示イメージ

施策が固まり、ブラウザ版を対象にA/B実験を実施し、効果が見えたら全展開およびモバイルアプリへも展開する計画を立てました。

結果レビュー

A/B実験を経て効果が確認できたため、全展開しました。詳細な結果は次の通りです。

A/B実験結果

ツールチップを表示したユーザにおける「定期ボックスの閲覧率」は、施策未実施のグループと比較して1.1ptの緩やかな向上にとどまりましたが、良い兆しが見られました。

特筆すべきは、「定期ボックスの中身を変更せず、提案されたまま注文が確定する割合」が3.1pt低下したことです。 これは、ClickNavigatorによってユーザが定期ボックスの存在に気づき、自分好みに中身を入れ替えるという「能動的な買い物」が行なわれたことを意味します。「定期ボックスの中身を知らずにそのまま届いてしまった」というBad体験を未然に防げたと言えます。

この結果を踏まえ、全展開することと決定しました。

全展開結果

全展開後、効果はさらに明確になりました。

「定期ボックスの閲覧率」は2.3ptの向上が見られ、先述した「提案されたまま注文が確定する割合」については3.5pt低下という大幅な改善が見られました。

これにより、「入会直後にどうしたらいいかわからない」という課題に対してClickNavigatorが有効に機能し、ユーザを正しい導線へ案内できたことが確認できました。

そして、「2週目解約率」についても、3.6ptの改善(低下)が見られました。

「商品が提案されていることをわかりやすくする」ことで「提案されていることを知らずに注文が確定する」Bad体験を防ぎ、結果として「入会直後のユーザに "定期ボックスで商品が提案されていること" を正しく認知してもらうことで2週目での解約を減らすことができる」という仮説が数値として証明された形です。

今後の展望

今回の取り組みを通じて、「入会直後のユーザは思っている以上にサービスの使い方がわからず戸惑っている」という事実を再認識しました。

ClickNavigatorは今後も改善を続けていきます。当初は画一的な案内でしたが、よりその人に合ったタイミングや内容で案内を出せるようアップデートを重ねていきます。

おわりに

バックエンドエンジニアとしてJavaやSpring Frameworkと戯れる日々でしたが(今もそうですが)、プロダクト開発組織として動き出し、はじめてデータ分析と仮説検証に取り組みました。

(避けてきた感のある)ユーザの行動データに向き合い、ビジネス課題に取り組むことは新鮮な体験でした。名前だけ知っていたSnowflakeをはじめて触ってみて、若かりし頃にSQLでやんちゃしていたことを思い出したのも楽しい瞬間でした。また、データ抽出とデータ分析はまったく別物だと痛感し、これからはデータ分析スキルも身につけていきたいと思います。

こうした学びを重ねながら、Oisixを長く楽しんでいただける体験づくりに取り組んでいきます。


  1. KPIとして具体的な数値目標を設定しておりますが、ここでは値の公表を控えております。
  2. 実際の具体的な数値については、公表を控えております。

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