Androidエンジニアの篠原(@shanonim)です。12/9〜12/10の2日間、弊社キッチンスペースでハッカソンを開催しました。
今回は、イベントの背景や当日の様子をお伝えしたいと思います。
開催のきっかけ
キッチンハッカソン2017は、ハンズラボ株式会社との共同開催です。
ハンズラボの百木田さん(@ykarakita)と別のハッカソンで知り合った際、「自分たちでハッカソンを企画するならどんなテーマになるだろう」と考えて、
- ハンズラボ →モノ×キッチン
- オイシックスドット大地 →食材×キッチン
という共通のテーマを見つけました。
海外では『The Smart Kitchen Summit』を始めとしたキッチンテック界隈が盛り上がっていますが、日本ではまだそれほど知名度がありません。
そこで今回、これから伸びるであろうキッチンテックの流れに乗っていくための場作りとして、ハッカソンを企画してみようということになりました。
キッチンハッカソンのテーマ
今回のハッカソンは『毎日の食生活を豊かにするHack』というテーマで開催されました。
キッチンといえば、もちろん食事を作るためのスペースですが、
- 包丁やまな板などの料理道具
- 電子レンジや冷蔵庫などの家電
もキッチンの一部です。
それらキッチンを取り巻くあらゆるモノやシチュエーションを背景に、料理や食事にまつわる様々な課題を解決することを本イベントの目的としました。
ニッチなテーマだったこともあり、正直参加者が集まるかどうか不安でしたが、当日は20人を越える参加者の皆様に集まって頂きました。
イベントのプログラム構成
平日にあるエンジニア勉強会と違い、ハッカソンイベントは2日間通しのイベントです。ほとんどの時間はモノづくりのための「ハッカソン」ですが、今回はその前段となる3つのプログラム、
- アイスブレイク
- アイディアソン
- チームビルディング
にも工夫を凝らしました。
アイスブレイク
ハッカソンの参加者は、基本的に初対面のメンバー同士ということが多いと思います。初対面の状態からたった2日間で一緒にモノづくりするメンバーになるわけなので、ぎくしゃくしたコミュニケーションは好ましくありません。後に続くアイディアソン→ハッカソンにスムーズに繋げられるように、アイスブレイクでは意識して多めに時間を取りました。
初対面同士のコミュニケーションで大切なのは「会話の糸口」です。
今回は参加者に対して「自宅のキッチンの写真を撮ってきてください。」という事前課題をお願いしており、当日はその写真を見せ合いながら、
- うちのキッチン自慢
- 料理する時、こんなことが大変
- こんな道具あったら便利そう
など、ざっくばらんにフリートークする時間を設けました。
会話のきっかけ作りを運営側で支援することで、ただ自己紹介するだけのアイスブレイクよりも場が盛り上がり、会場の緊張感を和らげることができたと思います。
アイディアソン
ハッカソンの前段にあるアイディアソンは、
- アイディアをとにかくたくさん出すフェーズ(発散)
- 自分のベストアイディアを決めるフェーズ(収束)
の2つに分けました。
アイディアをとにかくたくさん出すフェーズ(発散)
アイディアをたくさん出すためには、実際の「場」を見ながら考えることも必要です。今回のハッカソン会場にはキッチンが併設されていたため、アイディアソン中に実際のキッチンを見学することができました。
自分のベストアイディアを決めるフェーズ(収束)
アイディアを出し終わったら、その中から自分のベストアイディアを選びます。その後、アイディアを全員でシェアし合う時間を設けました。
各テーブルを順番に回って、自分が「イイね!」と思ったアイディアにシールを貼ります。
「多くのシールが貼られたアイディア=みんなから支持されるアイディア」ということなので、この後のチームビルディングのフェーズがスムーズになります。
シールを多く集めたアイディアの発案者には、詳細をピッチしてもらいました。
チームビルディング
チームビルディングは、最終的に自分が関わるモノを決める重要なフェーズです。
アイディアソンで人気を集めたアイディアを中心にチームが結成されることが多いですが、「我こそは・・!」というアイディアを持った人は参加者全員に対して再度ピッチすることもできます。
ハッカソン
3つのプログラムを経て、計4チームが結成されました。
昼食を食べながら計画を立てつつ、和やかな雰囲気で作業がスタートしました。(昼食はSandwich&Co.さんのサンドイッチでした!)
ハッカソンとしては少し小さめの規模ですが、参加者がストレスなく開発作業に集中できるように、そして何よりハッカソンを楽しめるように、スタッフは場作りに徹しました。
1日目懇親会の準備
キッチン越しのハッカソン
1日目懇親会。料理が大好評で良かったです!
1日目はチームビルディング終了時刻の13時〜22時まで、2日目は8時〜17時まで、合計で18時間のハッカソンとなりました。
ハッカソン中の様子
ハッカソンの審査基準
さて、今回のキッチンハッカソンですが、3つの審査基準を設定して審査を行いました。
「デモができること」という前提条件は、ハッカソンである以上何かしらのプロダクト的アウトプットを期待するという条件です。参加者に対しては、アイディアだけ・ビジネスモデルだけで審査しませんということを事前に明言しています。
審査員
審査員は、以下の3名の方にお願いして審査頂きました。(敬称略)
- 長谷川 秀樹(ハンズラボ株式会社 代表取締役社長)
- 奥谷 孝司(オイシックスドット大地株式会社 執行役員)
- 菅原 のびすけ(dotstudio株式会社 代表取締役CEO)
各チームのプロダクト紹介
TEAM RACCOON
「洗い物が増えたら教えてくれるIoTデバイス」を開発したチームです。食器がシンクに一定量溜まると、アライグマが喋って洗い物を勧めてくれます。
会場のキッチンを実際に使ってデモを行っていたのがとても印象的でした。実際の場があるとプロダクトを使っているシチュエーションが想像できて良いですね。
調味君
「調味料の使用量を管理できるIoTデバイス」を開発したチームです。使いすぎている調味料があると、健康を気遣って注意してくれる機能もあります。
このチームは、ハードウェア材料の買い出しからハッカソンを始めていて強い本気度を感じました。「限られた時間でのモノづくり」を楽しんでいる様子が伝わってきます。
ioisix
「ジェスチャーや声で料理動画を操作できるIoTデバイス」を開発したチームです。料理中に直接デバイスを触れない時でも、手をかざして左右に振るだけで料理動画の巻き戻し・早送りをすることができます。
このチームはプロダクトを作り込みすぎず、最小限の実装でアイディアを実現していました。(Wio Node + Groveセンサーではんだ付けレスデバイス、アプリライクな画面をWebページで代用、など)
「いかにコンセプトの伝わるプロトタイプを短時間で作るか」というハッカソンならではの課題をうまく解決していたチームだと思います。
CookForward
「レシートを管理して買いすぎをなくす」アプリサービスを開発したチームです。レシート管理・冷蔵庫管理・レシピ管理を通して、買いすぎと食品ロスを無くすコンセプトでした。
「何のために作るのか」という目的設定と、想定ユーザがとても細かく設定されていたのが印象的でした。プロトタイプのiOSアプリもとても完成度が高く、技術力の高さを感じました。
アイディアと技術的な傾向
今回は「キッチン」というリアルな場所があったことで「モノ」に注目するアイディアが多くありました。(4チーム中3チームがハードウェアを製作)
技術の面では、流行りのスマートスピーカー(Google Home)をプロダクトの一部に組み込むチームが多かったです。少し前までは手が届きにくかった音声認識を手軽に使えるようになったので、アイディアの幅も広がったのではないかと思います。
結果発表
優秀賞・最優秀賞のチームには、
- ハンズラボ株式会社から「東急ハンズで使える商品券」
- オイシックスドット大地株式会社から「野菜の詰め合わせセット」
が送られました。
優秀賞: 調味君
最優秀賞: ioisix
懇親会
最後は審査員の方にも参加頂いて、懇親会を行いました。 オイシックスドット大地提供の懇親会メニューを囲んで、チーム分け隔てなくワイワイと語らう場となりました。
まとめ
初めてのハッカソン企画でしたが、無事に終わりホッとしています。参加者の方々にも楽しんで頂けたようで良かったです。
自分で言うのもなんですが、運営側から見ていて「自分も参加したい・・・」と思えるイベントを主催できたのは、とても嬉しい経験でした。
@参加者のみなさま
@審査員のみなさま
@事前の準備・当日の運営と懇親会の料理を準備してくださったスタッフのみなさま
本当にありがとうございました!
第2回の開催時期はまだ未定ですが、またアナウンスできる日を楽しみにしています!